借入金について
今回は、住宅融資が債権譲渡されてしまった場合に、その譲渡後の借入金が住宅ローン控除の対象になるのかどうかという問題を取り上げます。
住宅ローン控除の対象になる住宅ローン等というのは、住宅の取得等に必要な資金に充てるために 適格な借入先 (措置法第41条第1項に列挙されている金融機関等)から借りた借入金等で、契約で償還期間等が10年以上の割賦償還等により返済することになっているもののことです。
債権譲渡と適格な借入先の関係は?
債権譲渡が行われると譲渡契約により債権が移転し債権者が変更されますので、その態様によっては、債権譲渡後の債権者が「適格な借入先」ではないということも考えられます。
ですから、債権譲渡があった場合には、債権譲渡の前後の債権者が「適格な借入先」であるのかどうかによって、債権譲渡後の借入金等の適用関係も以下のように変わってくることになります。
「適格な借入先」から「非適格な借入先」 への債権譲渡
この場合は、債権譲渡後の借入金等が「適格な借入先」には当たりませんので、住宅ローン控除は受けらないということになります。
「非適格な借入先」から「適格な借入先」 への債権譲渡
借入金等を借換えた場合には一定の要件の下で住宅ローン控除の対象として取り扱っています。これにより「非適格な借入先」から「適格な借入先」 への債権譲渡についてもこの取り扱いに準じて取り扱うのが制度の趣旨から適当と思われます。
従いまして、債権譲渡後の借入金等が償還期間と償還方法等の要件を満たしていれば、住宅ローン控除の対象として取り扱ってもよいことになっています。
ただし、このケースは、あくまでも借り換えの場合の取り扱いに準じて取り扱うとされたものですから、債権譲渡後の借入金等の償還期間等が10年に満たない場合には住宅ローン控除の対象にはならないということになります。
「適格な借入先」から「適格な借入先」 への債権譲渡
この場合の債権譲渡は、以下の理由から、債権譲渡前の借入金等が償還期間や償還方法等の要件を満たしているのであれば、債権譲渡後も引き続き住宅ローン控除を受けることができることになっています。
■債務者にとっては、住宅の取得等に必要な資金に充てるために借りた借入金であることには変わりがないこと
■上記の規定は必ずしも当初の借入先からの借入金でなければならないとしているわけではないと解釈できること |